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#自分史のブログ 山の辺書房自分史編集室より 連載第15回

連載第15回
自伝・自費出版の概要と心得

★このページは少し難しい記述となりますが、自分史執筆、出版に際し重要なことですのでご寛恕願います。

●原稿の種類
 生原稿作りには次の三つがある。

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 a. そのまま原稿
 著作権者(原稿を書く本人)が書いたものを、ほぼ原形のまま組版し仮製本して著作者に渡し、そこで入念な校正をしてもらう。この場合は、俳句・短歌・川柳・詩・研究発表・旅行記など、作者の個性をそのまま表現するもの。

 

   b. リライト原稿
  これは、著作権者が書いたもので、編集者が必要と感じた部分を編集者も参加して書き直しするもの。この場合当然、著作権者の意向が反映される。
 

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 c. 代筆(ゴーストライター)
  自伝作家が取材し執筆する。この場合、著作者は作家で、出版依頼者の扱いは「○○○の半生記」となる。

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●校正について
 原稿の流れとして、前述のいずれかを経て組版作業員の手によりゲラ刷の仮製本が出来る。これで一応本の「形」は完成するわけだが、ここからが出版の正念場となる。それは、「校正作業」という超難関を突破しなければならない。ということ。
 この校正には次の二種類がある。
 一、編集者校正…(編集部がすべての責任を持って行う             もの)
 二、著作権者(原稿執筆者)が校正に関するすべての責任             を負う責任校正。

 自費出版の場合は原則として著作権者責任校正となります。
 だからといって編集者は何もしないという訳ではなく、立場としては、「校正アシスタント」という役割になる。

 

  ●実際、これまでの経験から、この校正によるトラブルが多々生じている。原稿を書き、著者が納得して直ぐに印刷所に印刷・製本を依頼する場合など特に注意が必要となる。仮に、専門家であるはずの出版社と名のつく所に依頼した場合のトラブルが発生した例もある。


 本が完成した後、行トビや誤植が見つかった。勿論校正の責任は著者にあるわけだが、著者の言い分は、
「プロに託したのだ。修正してくれるのが当たり前だろう」
 と息巻いた。自費出版は完全責任校正といっているが、事が起こるとこの始末。この場合、出版社と著者の間で「出版契約書」が交わされず、只口約束のみだった。それで騒動が大きくなり裁判沙汰にまでなった。

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 当編集室では必ず出版契約書を交わし、のみならず、仮製本完成の時点で著者の[責任校正済承認印]を頂くことにしている。


※その他
○…生原稿を脱稿し、第一段階が出来上がると、必ず出版しなければならないのでは……という方が居るが、この点はご心配無用。わたしの長年の経験では、例えば十人の方が原稿段階で終止符を打ち、見事出版迄至った方は三人という現実がある。(この場合の依頼主負担は原稿編集組版代金のみ)

 

●…自伝・自費出版の原稿執筆に際し特に注意しなければならない点を掲げる。
 自叙伝を書くということはノン・フィクション(真実が原則)。そうなると、物語に数多くの著者と関わった人物が登場する筈。そこで、彼、彼女達のプライバシーが問題となる。真実を書かなければならないが、そうすると場合によって他人を傷つけることにもなる。


 対策として、生原稿ができた時、関係者全員に読んで貰うこと。結果、具合の悪い場合はその場面を割愛するか、名前を変えるか、場所を変えるか、など、状況に応じて対応しながら執筆することが必要だ。

 

●…最後に今一つ、多くの方が気にも留めず堂々とやってしまう行動がある。
 それは、無断転載・無断記載のたぐいだ。とくに写真などこの傾向が多くみられる。僅か一行の引用文でも他からの無断抜粋はよくない。否、よくないでなく著作権法違反になるので要注意だ。

 

 イラスト、絵画なども同様で、みなそれぞれに著作権がある。謂わば、これらは確実に他人様のものなのである。引用、転載したい場合は必ず持ち主の承諾を得なければならない。このことは、執筆に際し細心の注意を払わなければならないところだ。

 

 たとえ、少部数の自費出版作品であっても、一旦出版という形で世に出ると、その著作物は勝手にひとり歩きをはじめる。広い世間のどこに向かって歩いて行くのか、また、誰に読まれるのかわからない。いくら著者といえども、どうすることも出来ないのだ。
 何事があろうと著者はその作品に対して全責任を負わねばならない。
 だが、産みの苦しみが大きいほど、本を出版するという大事業の醍醐味・生き甲斐もあるのだ。

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続く

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