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#自分史のblog
初めて自分史に挑戦される方を対象に、自分史とは何か、その原稿の書き方、および注意点など、自費出版される時のあらゆる疑問にお答えします。
今自分史作りが静かなブームとなっている。約20年前に「自分史」ということばが世に生まれ、同時に多くの愛好家が挑戦した。あまり加熱しすぎたせいで不良業者に多額の金を巻き上げられたケースも続出。私の事務所にも「返品の書籍で寝る場所もない。なんとかならないか」と相談が持ち込まれるありまさだつた。その後、俄業者は淘汰され現在は落ち着いている。だが、自費出版は金がかかるからという問題が残った。そこで当編集室では電子書籍出版に切り替え安価を実現している。

 
人生100歳時代
今一度青春を
自分史のブログ 山の辺書房自分史編集室 連載最終回

自分史を書くときの心理と心構え
 

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●…相談例 
 開口一番「書きたいことが一ぱいある、色んなことが頭の中で渦巻いている」という。ところが、これを文章にするにはどうしたらいいかと問う。
 書きたいと思うことを話してもらい暫くお聞きする。雄弁だ。聞いていて、〝そのまま速記したらいいのに〞と思う。ひと区切りしたとき、
「今お話しになったことをそのまま手を加えずにお書きになったら立派なものができますよ」
と答える。
 どうも納得しかねる表情である。つまり、話すことと文章として書き上げることは全く別だとお考えなのであろう。


 勿論、話すことは文章表現とは同一でないことは私も承知しているが、だからといって、話したことをそのまま走り書きしたのでは文章にならないという根拠はどこにもないのであって、むしろ、下手にひねくりまわした文章よりも心を打つ場合が多いものである。

●…この方の場合だと、文章を特別視しないことが第一だと思う。そこで、実験的にだが、落書帳などを用意し、鉛筆を使って、話そうと思うことをそっくりそのまま、指先を口だと思って気楽に書きつける。勿論話し言葉で結構。また、漢字が思い付かなければカナで書きまくる。書き終えたら読んでみる。かなりいい文章になっていることに気づく筈である。細部の修正はその後だ。

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 前回は書くことが多すぎてどうまとめたらいいか分からない、というものであったが、今度は、「本を書いて残して置きたいが、私の過去は平凡で書く材料が見当たらない」というお言葉。

●…「書く材料がない」という話はよく耳にする。而し、人間、この世に生を受け熟年に至るまでにはいくら平凡であっても、それなりのドラマがある筈で、何もないと思うのは、それを見つける術を身に付けていないからだと思う。

●…よく聞く話だが、小学生が夏休みの作文宿題を書くのに、材料を見つけるため旅行や変わった体験をする、というのがある。つまり、日常から離れて、何か特別な出来事を起こさなければ作文は書けない、というのである。

●…これは大人でもそうであろうと思う。確かに何か大きな事件なり数奇な体験を持っていると書くには都合がいい。努力して材料を見付ける手間が省ける。書く内容が目の前に転がっている。実に楽だ。ところが、ここに問題がある。
 変わった材料があるから書けるんだ、という人の場合、その作品が単調な報告書のようになりやすい、ということ。内面を深く掘り下げる力が不足しているともいえる。自叙伝は報告書とは違う。深みや味がほしい。
 そこで重要なのが「ものを見る目」である。これを養ってもらうと作品にぐっと深みができる。読む側に感動も与えるだろう。
 以下、このことについて考えてみる。

●…或る芸術家曰く、『吹き溜まりの落葉に真の美がある。だが、人々はこの美を見る眼鏡を持っていないのだ』ゴミと等しい枯れ葉に「美」がある、という。特別なメガネを使えば見えるというのだ。書く材料が見えない場合、このメガネがあれば万事オーケーとなる。

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 つまり、平凡裡に素晴らしいものを見付けることができるという訳だ。而し、眼鏡店で売っていないだけに自分で作るには大変である。そこで、ヒントとして次のようなことを実行してみる。
●…先ず、ガラス製コップ一個と金属製を一個用意する。ガラス製コップを手に持つ、次に、コップを真上から見る、横から見る、下から見る。注意深く真剣に観察する。すると、これまで気付かなかったこと、つまり、丸いと思っていた底面が意外にダ円であったり、透明な筈のガラスが少し色彩を帯びていたり、材質の厚い部分に気泡が見つかったり、などいくつかの発見をすると思う。
 熟知していた筈のコップを案外知っていなかったことに気付く。平凡から何かを見つけた訳だ。

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●…こうして物事を興味深く観察する。これが出来るようになれば、次は一歩前進して現実面、つまり外面から内面へと思考の世界を広げてみる。ガラスは純心、金属製はズブトクなかなかこわれない等々。コップに生命を吹き込み性格を持たせてみる。詩人がよく使う手法だ。単なるコップが息をはじめる。思考を重ねると一冊の本にでもなる内容がある。
 
●…前回、普通のコップでも見る気持ちによってどのようにでも変化することを書いたが、芸術家のいう「眼鏡」を自分のものにするには、コップの例の如く、あらゆるものに対して異常なほどの興味を持つように心掛けることが第一。

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 次に、身の回りの平凡、単調なものに特に注意して目を向け、その都度、それに対する深い観察を行う。これを根気よく繰り返す。そのうちに、ふと気付くと驚くほど自分の感性が磨かれていることに気が付く筈である。
 つまり、平凡な日常のなかに何かを見つけるためのメガネが徐々に出来つつあるということである。
 ここまでくると大したもので、平凡極まりなしと考えていた我が半生がそれなりに変化のある素晴らしいものであったことに気付くだろう。
 自伝を書くにしても、「何で今までこれに気が付かなかったかしら」と思うことが次々に見えてくる。考えることが楽しくなる。

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●…この習慣が身に付いてくると、これまで何気なく見過ごしていたもろもろのことに対して自分なりの鮮明なイメージを描けるようになる。物事の裏面が見えてくる。ボーとした人生から、一寸した頭の切替で充実した生活を送ることができる。
 ここまで訓練するともう大丈夫だ。書くことなど何の苦労とも感じなくなる。テーマを設定して筆を起こせば、いくらでも文字が飛び出してくる。同時に、総てにおいて視野が広くなる。頭を使うから老化防止にもなる。

●…相談例 
「本にする資料を整理した。筋も考えた。そこで書き始めたが、どうも思うように書けない。お宅に頼んだらいいがその分余計に費用がかかる。自分で書いてみたいがどうしたらいいか」
●…以前にも、書きたいことはあるが書けない、という相談があったが、今回の場合は実際に書く行動を起こしてみて、その結果、技術的にどのように表現し、いかに筋を組み立てたらいいか分からない、というもので、同じ「書けない」という相談でも一歩進んだ悩みである。
●…話をお聞きするとかなり長編の草稿だ。その下書きをもとに「いきなり長編に仕上げるつもりで執筆を開始した」ということである。
 これは大変な作業で、余程筋立てがうまく出来ていないと最後まで息が続かないと思った。
●…どうするか、ということであるが、この方は自分で書いてみたいというだけあって、今までに短いものを幾つか書いた経験があった。そこで、その経験を生かして、短編を書いて長編にする方法をとるといいのではないでしょうかと申し上げた。
 短編を幾つも合わせて一冊の本にする。年代順にうまく配置すれば、出来上がりは必然的に筋が通る筈である。短編と短編との接続などは必要に応じてあとで考えて書き足せばいい。この方法だと、作者自身気持ちが大変楽になると思う。長編を書くんだという重圧感から解放される。結果として脱稿の確率が高くなる。

●…短編を書いて長編にするための具体的な方法を参考までに書いてみる。
 先ず、長編のために用意した草稿を再度整理することから始める。長編を書くつもりの資料であるから小さな区切りなどはない。
 そこで、それを短編用の草稿にするために、内容を検討しながら可能な限り小さく区分けする。
 例えば、・家・祖父母・父と母・五才の夏・入学式・学校・友人K・体育の授業・初恋、等々、その内容に応じて適当な題をつけてそれぞれ独立した短編として書けるように細かく分ける。いわゆる、短編としてまとめるのに最も都合のいいように区切りをつける訳だ。このとき、各区切りに題をつけるが、内容次第で複数の出来事を一つの短編として書こうと思えばそれはそれで結構だ。
 とに角、この方法だと、一つのテーマについてのみ書けばいい訳で、それ故、息切れの心配がない。推敲するにしても原稿枚数が少ないので苦にならない。
 一編一編完成されたものが確実に出来上がる訳で、ちょうど煉瓦を一つずつ積み上げる作業と同じである。
●…人生は一秒一秒の積み重ねで構成されている。また、偶然の連続が人生だともいえる。べったり連なっている如く見えるがその実は偶然の集合体である。
●…過去の人生上に起こったこの偶然のひとつひとつを短編にまとめる。それを時間を追って配置する。独立した短編がそれぞれ関連を持って作用し、見事な一冊の本が完成する。
◎新聞連載抜粋以上。

あとがき
 人間の限られた命、その時間を如何に過ごすか。これを定義するのは困難を極める。
 わたしは十代の後半、何故自分というものがこの空間に存在するのか、ということを真剣に考え始めた。
 自分の意志でこの世に居るのではない。気づいたときは既に存在していた。これは一体何か、どうしてなのか……。
 この日を境に現在に至るまで考え続けている。沢山の書物をむさぼり読み、なにかを見付けようとした。
 トルストイは人生論で、存在の秘密でなく、生き方を説いている。「他に寄与せよ」そこに生きる目的がある、という。
 然し、ここにいる自分という一個体についての「存在理由」についての答えはまだ見つからない。
 それは、際限ない宇宙について「その正体」を見付けようとする試みと似ている。考えを深めていくと気が遠くなってしまう。
 どこで解脱するか考え中だ。

「人生は、それを歩む者にとっては悲劇であり
それを考える者にとっては喜劇である」
 ただ一つ、カーライルのこの言葉が、わたしに生きる力を与えてくれる。

●一昔前は人生50年……それが70年になり、ついに100年時代になった。「さて、いかに生きようか」
団塊世代の挑戦到来だ。今一度青春を! 生ある限りアクティブにだ。未知の世界へ飛び込んでみようではないか……。

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http://yttp://web1.kcn.jp/y-pub

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山の辺書房自分史編集室プロフィール
1968年 
季刊誌発行や歴史調査・編纂
1970年 
約五年間地方紙記者(和歌山)
1973年 
文芸庵設立(デザン・執筆等)
1987年 
熊野文芸編集室に改称、以後本格的に自費出版業開始
1988年
日本シナリオセンター(東京)入校
「一の会」会員。現、OB
2002年
日本自費出版ネットワーク入会
2003年
日本自費出版文化賞小説部門選考委員
2004年
ISBN取得、事業所名を「山の辺書房自分史編集室」に改称
2005年
デザインスタジオ併設,絵本全国発売
2013年
奈良橿原市を拠点とする
主な著作:
自分史「児童図書・ど根性」「足跡」「戦時体験」「父の旅」「書き方ガイド」
企画・編集:
大台ケ原開山行者の生涯・大台ヶ原妖怪物語,狼夜話,登山日誌・熊野の里山今昔噺、上下二巻・平成の大洪水・膀胱がん闘病記、他多数
現在、併設デザインスタジオ制作の水彩画出展プロデュース
​(水彩画家、向井靖子) ネットにて原画通販
奈良橿原商工会議所会員
自伝作家 
ペンネーム/よしいふみと 
参考文献 「夜の光」志賀直哉著 新潮社刊
http://web1.kcn.jp/y-pubhp


○C Fumito Yoshii 2019. Printed in Japan
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